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幼稚園バスの状況

幼稚園バスについてお伝えしていこうと



 
路線バス・幼稚園バス(76人乗り)の運転手、バスの購入・園バスデザイン、添乗員ローテーション等を担当していた経験をもとに、 幼稚園バスの実態についてお伝えしていきます。

1.幼稚園バスの種類と価格
2.幼稚園バスの運転資格(大型2種免許は必要?)
3.幼稚園バスの経費(バス代と人件費・燃料費)
4.バスの中での子どもの様子(乗車・降車・番外編)


*.事故はなぜおこるのか



 


 
1.幼稚園バスの種類と価格

「幼稚園バスの種類と価格」についてです。


幼稚園バスは、概ね大型バスとマイクロバスに分けられますね。

大型バスでは、HINOとFUSO。
マイクロバスでは、トヨタコースターと日産シビリアン
が代表的です。


その中で、マイクロバスには幼児専用車がありますが、 大型車ではそのニーズが少ないようで幼児専用車はありません。
ですので、特装車という運転席以外何もない状態を改造して、幼児専用車にします。
その際、別途改造費用がかかってしまうんです。





バス費用は、
マイクロバスで約500万円
大型バスで約1000円+改造費500万円で、1500万円


マイクロバスでも、猫バスとか、機関車バスに改造する場合、だいたい400万円前後の費用が加算されています。







意外と、高いんですよねぇ〜
あなたの知ってる園のバスは、どんなバスかなぁ? 

ここがポイント!

 少子化や送迎時間などの点から、大型の幼稚園バスのニーズはほとんどありません。

費用も約3倍と、高い。
それでも、大型を使用するメリットとして「一斉に保育をスタートできること」 が挙げられます。




 



 
2.幼稚園バスの運転資格(大型2種免許は必要?)

「幼稚園バスの運転資格」についてです。


路線バスや観光バス等、人を乗せて車を運転するには、大型第2種免許が必要になります。



もっと詳しく言うと、
  有償で、旅客自動車を使ってお客を運送する時に2種が必要になります。
  (2種免許は、営業目的で運転するものが必要となるんです。)




じゃぁ、幼稚園バスは2種免許が必要かというと、、、 必要ありません
幼稚園バスは大型第1種免許で運転できます。

多くの幼稚園では、
バス代をバスの運行の目的の為に徴収しているのだから、有償でお客を運送しているのですが、自家用車という所がセーフなようです。

でも!
人を乗せて、自分でしっかり座ってることすら出来ないこともある子どもを乗せて運転するのだから、2種免許が必要だと私は思います!





しかし、2008年2月現在、
幼稚園バスやプールの送迎バスなどは、1種免許で運転できることになっています。
が、しかし、今後は、このルールも改正されていくことになるようです。
(プールの送迎バスは、無料が大半ですから、問題も少ないと思いますが、
(幼稚園バスは、大半が有料ですからねぇ・・・





幼稚園バスでバス代を取っている以上、2種は必要ですよね



ぜひ、幼稚園に問い合わせてみてください。
   「なぜ幼稚園バスの運転を1種免許でしてるのか?」
   「なぜ2種免許所持者が運転しないのか?」

正しく答えられる園はあるのかな・・・??
きっと、電話口でタジタジになってしまうと園も多いと思います。








さて、その大型2種免許。 大型1種免許と2種免許では何が違うのでしょうか?
免許取得の観点からお伝えしていきましょう。


1種・2種とも、免許取得時の適性検査の内容には違いはありません。
  ・両眼で0.8以上、片眼でそれぞれ0.5以上。
   (普通免許とは違います。ちょと厳しくなってます。)
  ・深視力検査。
   (3本の棒の真ん中だけ前後に動いていて、3本横一列にそろった時に
   (ボタンを押す検査です。連続3回、平均誤差が20mm以内。
   (普通免許では、この検査はやりません。


また、実技の内容ですが、
1種免許は、普通免許を持っていて3年経てば、誰でも取れます。


教習所に行けば、車に乗っている(実技)だけ。学科試験はなし
教習(卒検)が終了すれば、免許センターで免許をもらうだけです。
とっても簡単です。
普通車の講習内容とほとんど同じで、車体サイズが大きくなっただけだと思ってください



それに比べて、2種免許は
人を乗せて運転することを、技術・意識面でみっちり必要になります
それだけでなく、
運転のプロとして、道路運転の規則を細かく覚えていかなければ、学科試験にもパスしません。



普通免許、大型1種免許では、(法律的にダメでも)大目にみてもらっていた運転が、2種免許では許されないんです。(私が2種免許を勉強して、初めて知ったルールがあるくらいですから・・・。






まぁ、そんな技術的な運転資格の他に、幼稚園バスの運転手の資格として、
  ・すぐイライラしない人
  ・子どもが好きな人
が条件になります。

子どもは、どうしても話声が大きくなりがちで、運行中、にぎやかになることもあります。
「うるさいなぁ〜!」と感じ、運転に支障をきたさない広い心が必要です。

また、子どもがバスから降りるとき、1人1人挨拶してきます。
「いってきます」「運転手さんありがとう」とか。そんな大変そうには見えませんが、これが、大型バス80人全員が一斉に降りるとどうなるでしょうか・・・。(マイクロで40人です)
子どもの挨拶は運転手1人に対してだけですが、運転手の方は、相手は80人。挨拶だけで、喉がかれて、ろれつがまわらなくなります・・・。

好きでないと、毎日のその時間がイヤになってしまうかもしれませんね☆



ここがポイント!

 バス代を徴収している以上、2種免許は必要と私は考えます。でも現在は1種免許です。グレーに近いですが。

法的にOKだからと言って、1種で良いということではないと感じます。
大事な子どもを送迎しているという観点から、幼稚園バス運転手は、園の判断で2種免許所持者を雇うべきでしょう。

保護者は、このことを知らないだけ。
まさか、バスの免許がなく運転しているとは思わないでしょう・・・。

だからこそ、死亡事故はおきてしまうのです・・・!




 



 
3.幼稚園バスの経費(バス代と人件費・燃料費)

「幼稚園バスの経費(バス代と人件費・燃料費)」についてです。



バスを運行させる為には、バスを購入し、運転手を手配し、維持費を払うなど、多くの経費がかかりますが、収入はバス代しかありません。

しかし、そのバス代も決して多くはありません。
某市幼稚園協会加盟の内、バス運行をしている50園のバス代平均は、2850円でした。



仮にマイクロバス40人乗で、月114000円。
2便走らせてたって、228000円の収入です。
(大型バスにしても、79人乗で225150円です。)




この額が、多いのか少ないのか、よく分からないと思います。
そこで、支出を計算してみましょう。



バス運行の支出の大半は、人件費と燃料費。
(他にも点検や車検代などかかりますが、ここでは除外します。
(ただ、バスの車検は年1回訪れます・・・。
人件費は、運転手派遣会社に頼んだとして、1人4時間運行契約で約月168000円
(*この内、運転手には10万円が払われるようです)
(4時間走っても、走らなくても、同じです。)

燃料費は、だいたい1L 8キロくらい走って、1台20000円以上かかります。


計算式はこんな感じになりますよぉ☆
  マイクロ40人乗(1便) 収入114000円
          燃料費  支出 20000円
          人件費  支出168000円
  --------------------------------------------
                  −74000円


  マイクロ40人乗(2便) 収入228000円
          燃料費  支出 40000円
          人件費  支出168000円
   --------------------------------------------
                   20000円



人件費を抑えるために、園長が運転している園も多くあります。
園長が運転することで、人件費を10万近く抑えることが出来ます。

でも、忘れてはいけないのは、すでに述べた「バス購入費」です。




バス運行は、頑張って経費を抑えても、バス購入費が重くのしかかります。
人件費を抑えた場合、バスは10年近くは走れますので、長い目で見れば、収支がプラスに転じるのかもしれません。

その為、幼稚園バスの運転手は、外部(派遣会社)に頼むより、内部(幼稚園の職員)で、確保した方が効率が良いので、園で雇っているのでしょう。


ここがポイント!

 維持費はかなりかかります。バス代収入で、プラスマイナス0になれば良いほうでしょう。バス代だけでは、やっていけない。だから営利運行ではないので免許は1種ということにもつながるのかもしれません。

もちろん、車検・保険・整備費用もありますから・・・。
(それでも、法定点検をしてない適当な園もあります)



 



 
4.バスの中での子どもの様子(乗車編・降車編・番外編)

「バスの中での子どもの様子」についてです。

バスの中で、子どもたちは、どうのように過ごしているのか。
保護者の方には、見えない場所であるし、保育者にとっては、他の園の様子をしりたいところでもあるこの話題だと思います。 (今回は、とある幼稚園の話をもとにお伝えします)




まずは、乗車編です。

バス停では、スムーズに乗車→発車できるようにおおむね並んで待っています。
バスがバス停に着くと、保育者が出迎えます。
子どもたちは、先生と運転手さんに挨拶をし、バス停ごとに色分けされた座席に、自分で座ります。



バス乗車中の子どもたちは、
外の景色をぼ〜っと眺めたり、自分の名前を指なぞって遊んでいたり、
同じバス停同士・友達同士で話をしたり、お昼寝をしたり、ジャンケンなどをして遊んでいたり、
話に夢中になりすぎて先生に注意されたり・・・しています。



バス乗車中のルールは、
  ・前に向いて座る(後ろを向かない)、
  ・小さな声で話す
っと、大きく分けて2つ程です。
このルール設定の背景は、危険がないように座ることと、狭いバス内で声が大きくなり過ぎないようにすることにあります。


バスの中は、
子どもたちの熱気で意外と暑くなります。
しかも、横からの日差しが強く、日差しがとても暑く感じます。
特に、冬は、暖房を入れなくても、子どもの体温と日差しで、汗ばむほど暑くなる時もあるんです。




登園時、絶対やめてほしいことは、 「バス停でご飯(パンなど)を食べていること」。
たまにいるんです。
どうしても時間がないのであれば、遅刻・欠席してでも、家でゆっくり食事はとらせてあげてほしいと思います。

そして、もうひとつ。
バス停は歩道です。「遊んで待つこと」のはやめて下さい!
危険極まりないです。 自転車や自動車との交通事故の原因にもなります。
(これは、登園だけでなく、降園後も)


これらは、子どものために・・・。








次に、降園編です。 (乗車ルールは、登園と同じです)


まず大変なのは、トイレ問題です!
バス走行中に、、、
   「せんせ〜い、おしっこしたい・・・!」
な〜んて言ってくる子が、たまにいます。


中には、笑いながらふざけて言ってくる子もいるので、
「ほんとに?」「もう少し、がまんできる?」「どうしてもがまんできなかったら、また教えて」と声をかけます。
でも、どうしても、もれそう!っという子もいますので、そんな時は、
  ・公園
  ・コンビニ
を見つけて駆け寄ります。最悪、路肩ですることも・・・。
バスには、トイレは、済ませてからから乗りましょう・・・(><)




そしてもっと最悪なのは、保護者がバス停にお迎えに来ていない時です。
この場合、バス停で少しは待ちますが、他にも子どもは乗っているのですから、その保護者を何分も待つわけには行きません
ですので、バス停を発車し、その子は園までトンボ帰りにされます。


こうなると、辛いのは、子どもの気持ちです。
「やっと、お母さんに会える☆」と思っていたら、迎えに来てくれていないのですから、、、。
子どもにしてみれば、絶対的に信じているものを失う気持ちだと思います。

年少・年中の子どもなら、まず泣きます。
親がいなくても、何が何でも力ずくで、そのバス停で降りようとする子もいます。

子どもが、とっても悲惨で、かわいそうなので、バス停には余裕を持って待つようにしてくださいね☆









さて、ちょっと番外編になってしまうのですが、
幼稚園には「バスの中は保育なのか!?」という議論があります。

これは、「登降園と保育は別」と、「保護者から子どもを預かった時点で保育」
という2つの考え方があるからです。


登園方法は、子どもによって違うし、バスに担任が乗っている訳ではないので、「保育」にはならない。
でも、子どもを預かっている以上は「保育」という考え方に含むのではないか。
という風に考えが分かれるのです。


このような「保育」の考え方(園の方針)によって、バス内での先生の子どもへのかかわり方が変わってきます。

バス内で、ビデオを見ている園もあれば、絵本を読む園もあり、ケガのないように子どもを見守るだけの園もあります。

ただ、ビデオや絵本は、バス内の全員が同じ時間乗っている訳ではないので、最初に降りてしまう子は、中途半端で楽しめない気がするのですが・・・。




あなたは、この2つの考え、どう考え・どう感じますか?


ここがポイント!

 基本は子どもの安全輸送(送迎)です。
そして、きちんと保護者が送り迎えしてくれること。

「保護者の送り・バス送迎・保護者の迎え」 これが整ってこそ、幼稚園送迎です。 幼稚園バス送迎について園・保護者間で互いに話し合う機会も必要かもしれません。


 





*.幼稚園バスによる死亡事故について





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